SDカードのパッケージを見ると、「C10」「U3」「V30」「A2」といった記号がずらりと並んでいます。これらはすべて速度に関する規格なのですが、種類が多すぎて何を基準に選べばいいのかわからないという方がほとんどではないでしょうか。
実はこれらの規格にはそれぞれ意味があり、用途に応じて見るべきポイントが異なります。写真撮影で大事な速度と動画撮影で大事な速度は違いますし、スマートフォン用とカメラ用で求められるスペックも異なります。
この記事では、SDカードの速度に関する規格をすべて整理し、用途別にどの速度を選べばよいかをわかりやすく解説します。SDカード選びで迷っている方は、この記事を読めば自分に必要なスペックが明確になるはずです。
SDカードの速度を示す4つの規格
1. スピードクラス(Class 2 / 4 / 6 / 10)
最も古い速度規格で、最低書き込み速度をMB/sで表した数字がそのままクラス名になっています。Class 10なら最低10MB/sの書き込みが保証されます。現在販売されているSDカードはほぼすべてClass 10以上のため、この規格だけで判断するのは不十分です。
パッケージ上では「C」の中に数字が入った丸いマークで表示されています。現行のカメラを使うなら、この規格は「Class 10であること」を確認する程度で問題ありません。
2. UHSスピードクラス(U1 / U3)
UHS(Ultra High Speed)規格における速度クラスで、U1は最低書き込み速度10MB/s、U3は最低書き込み速度30MB/sを保証しています。パッケージ上では「U」の中に数字が入ったマークで表記されます。
4K動画の撮影にはU3以上が推奨されており、写真撮影で連写を多用する場合もU3を選んでおくとバッファの回復が速くなります。現在のカメラ用途では、最低でもU3のカードを選ぶのが基本です。

3. ビデオスピードクラス(V6 / V10 / V30 / V60 / V90)
動画撮影の需要が高まったことで新設された規格です。Vの後の数字がそのまま最低書き込み速度(MB/s)を表しており、非常にわかりやすい仕組みになっています。
各クラスの目安は以下のとおりです。
V30:フルHD〜4K動画に対応。一般的なカメラの4K 30p撮影であれば十分な速度です。
V60:4K 60pや高ビットレートの4K動画に対応。ミラーレスカメラの本格的な動画撮影で推奨されるクラスです。
V90:8K動画や、4K 120pなどの超高速動画に対応。フラッグシップカメラでプロ向けの動画撮影を行う際に必要になります。
4. アプリケーションパフォーマンスクラス(A1 / A2)
これはスマートフォンやタブレットでアプリをSDカード上で実行する際の性能を示す規格で、カメラ用途ではほぼ関係ありません。ランダム読み書き性能を保証するもので、A2のほうが高性能です。
カメラでSDカードを選ぶ際にはA1/A2のマークは気にしなくて大丈夫です。スマホ用としてSDカードを探している場合にのみ参考にしてください。
バスインターフェースの違い|UHS-I と UHS-II
UHS-I:最大転送速度104MB/s
現在最も普及しているインターフェースです。SDカードの裏面の端子が1列になっているのがUHS-Iの特徴。読み書きの最大速度は理論上104MB/sですが、実測では80〜95MB/s程度が一般的です。
写真撮影メインで連写をあまり使わない方、4K 30p程度の動画撮影であればUHS-Iで十分に対応可能です。価格も手頃で入手しやすいのがメリットです。
UHS-II:最大転送速度312MB/s
端子が2列になっているのがUHS-IIの目印です。読み込み速度は200〜300MB/s、書き込み速度は100〜260MB/sと、UHS-Iを大幅に上回る性能を持っています。
高速連写を多用するスポーツ・野鳥撮影や、高ビットレートの動画撮影ではUHS-IIの恩恵が大きいです。PCへのデータ転送も高速になるため、大量のRAWファイルを扱う方にとっては作業効率の向上にもつながります。

UHS-III と SD Express
UHS-IIIやSD Expressといったさらに高速な規格も策定されていますが、対応カメラや対応カードはまだ少ない状況です。将来的に普及する可能性はありますが、現時点ではUHS-IIが実用上の最速と考えて問題ありません。
「最大転送速度」と「最低書き込み速度」の違い
パッケージの大きな数字に騙されない
SDカードのパッケージに大きく表示されている「300MB/s」「170MB/s」といった数字は、シーケンシャル読み込みの最大速度です。これはデータをPCに取り込む際の速度であり、カメラで撮影する時に関係するのは書き込み速度のほうです。
書き込み速度はパッケージの裏面や商品説明に小さく記載されていることが多く、読み込み速度の半分以下ということも珍しくありません。カメラ用途ではこの書き込み速度を必ず確認しましょう。
「最低保証速度」が本当に重要
V30やV60といったビデオスピードクラスの数字は、「この速度を下回らない」という最低保証値です。動画撮影では一定の速度でデータを書き込み続ける必要があるため、瞬間的な最大速度よりも持続的に維持できる最低速度のほうが重要になります。
写真撮影でも、連写時にバッファがいっぱいになった後の書き込みは持続的な速度が求められるため、最低保証速度は重要な指標です。
SDカードの速度を正確に知りたい場合は、CrystalDiskMarkなどのベンチマークソフトで実測するのが確実です。カタログスペックと実測値には差があることが多いため、レビューサイトの実測データも参考にしましょう。
用途別|必要な速度の目安
日常のスナップ撮影(JPEG記録)
U1/V10以上であれば問題なく使えます。JPEGのファイルサイズは1枚あたり5〜15MB程度のため、書き込み速度10MB/sでも実用上のストレスは感じにくいです。ただし現在販売されているカードはほとんどがU3/V30以上のため、あえて低速のカードを探す必要はありません。
RAW撮影・連写多用
U3/V30以上が推奨です。2400万画素のRAWファイルは1枚あたり25〜30MB、4500万画素なら50MB前後になるため、高速連写では大量のデータが一気に書き込まれます。UHS-II対応カメラならV60〜V90のカードを使うことで、連写後のバッファ回復が格段に速くなります。
4K動画撮影
4K 30pならV30で対応可能ですが、4K 60pや高ビットレートの4K動画ではV60が推奨されます。カメラのマニュアルに推奨速度が記載されていることが多いため、必ず確認してから購入しましょう。
8K動画・プロ向け映像制作
V90のカードが必要です。8K動画はビットレートが非常に高く、V60では書き込みが追いつかない場合があります。また、8K対応カメラの多くはCFexpressカードに対応しているため、SDカードではなくCFexpressを選ぶケースも多いです。

速度だけじゃない|SDカード選びで忘れがちなポイント
偽物に注意
オンラインショップでは、SanDiskやSonyの偽造品が出回っています。パッケージが似ていても中身は低品質なチップが使われており、カタログスペックの半分以下の速度しか出ないことも。正規販売店での購入が最も確実な偽物対策です。
カードリーダーの速度も重要
UHS-IIのSDカードを買っても、カードリーダーがUHS-Iにしか対応していなければ転送速度はUHS-I相当に制限されます。PCへの取り込みを高速化したいなら、UHS-II対応でUSB 3.0以上のカードリーダーを用意する必要があります。
温度による性能変化
SDカードは高温環境で性能が低下することがあります。夏場のダッシュボードに放置したり、長時間の動画撮影でカメラ内部が高温になったりすると、書き込み速度が一時的に落ちる場合があります。Sony TOUGHシリーズのように高温環境に強いモデルもあるため、過酷な環境で使う方は耐温度性能もチェックしましょう。
microSDカードをSD変換アダプターで使用した場合、接触不良や速度低下のリスクがあります。カメラでの使用はフルサイズのSDカードを推奨します。microSDは本来スマートフォンやアクションカメラ向けの規格です。
よくある質問(Q&A)
Q. V30とU3は同じ速度なのに別の規格なの?
はい、V30とU3はどちらも最低書き込み速度30MB/sを保証していますが、規格としては別系統です。ビデオスピードクラス(V30/V60/V90)のほうが新しい規格で、V60やV90はUHSスピードクラスには対応する区分がないため、動画性能を正確に示す指標として制定されました。
Q. 読み込み速度が速いと何がいいの?
読み込み速度はカメラで撮影する際にはほぼ関係なく、PCにデータを取り込む際の転送速度に影響します。大量のRAWファイルをPCに取り込む作業が日常的にある方は、読み込み速度が速いカードを選ぶと作業時間を短縮できます。
Q. カメラがUHS-I対応でもV90のカードを使うメリットはある?
UHS-I対応カメラにV90カードを入れても、転送速度はUHS-I相当(最大104MB/s)に制限されます。V90の高速性能は活かせないため、コスパの観点ではV30のUHS-Iカードで十分です。ただし、将来UHS-II対応カメラに買い替える予定があるなら先行投資として選ぶ意味はあります。
Q. SDカードの速度を自分で測定する方法は?
Windows環境では「CrystalDiskMark」、Mac環境では「Blackmagic Disk Speed Test」が定番のベンチマークソフトです。UHS-II対応のカードリーダーを使って測定すれば、カードの実力を正確に把握できます。SD Association公式サイトでも各規格の詳細な技術仕様が公開されています。
SDカードの速度テスト結果や比較レビューはデジカメWatchでも定期的に掲載されているので、購入前の参考になります。またCamera Memory Speedでは各種SDカードの実測データが網羅的にまとめられています。

まとめ
SDカードの速度規格は、スピードクラス・UHSスピードクラス・ビデオスピードクラス・アプリケーションパフォーマンスクラスの4種類があり、カメラ用途で特に重要なのはUHSスピードクラスとビデオスピードクラスの2つです。
写真撮影メインならU3/V30、連写多用や4K動画ならV60、8K動画やプロ用途ならV90が目安になります。バスインターフェースはカメラ側の対応に合わせてUHS-IかUHS-IIを選んでください。パッケージに大きく書かれた「最大転送速度」は読み込み速度であることが多いため、書き込み速度と最低保証速度を確認するのを忘れないようにしましょう。おすすめのSDカードは以下の記事で具体的に紹介しています。


