水族館で泳ぐ魚やクラゲの幻想的な姿を写真に残したい。でも暗い館内で撮ると、ブレたり暗かったり、ガラスに自分が映り込んだりと、なかなかうまくいかないことが多い。
水族館撮影は「暗所での撮影テクニック」が凝縮されたジャンルだ。この記事では、水族館で美しい写真を撮るためのカメラ設定からガラス越しの撮影テクニック、おすすめのレンズ選びまでを解説する。

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水族館撮影のカメラ設定
水族館は薄暗い照明で水槽がライトアップされている特殊な環境だ。通常の屋外撮影とは異なる設定が求められる。
- 撮影モード:シャッタースピード優先(Sモード)が安定しやすい
- シャッタースピード:泳ぐ魚なら1/200秒以上を確保。ゆったり動くクラゲやウミガメなら1/60秒〜1/125秒でも対応可能
- ISO感度:ISO 1600〜6400。暗い水族館ではISO感度を上げざるを得ない。ノイズが気になる場合は後からRAW現像でノイズ除去する
- 絞り(F値):できるだけ開放(F値を小さく)して光を多く取り込む。F1.8〜F2.8の明るいレンズが有利
- ホワイトバランス:「白熱電球」に設定すると水槽全体が青みがかって水中感が増す。「オート」でも自然な仕上がりになることが多い
- フラッシュ:原則OFF。魚へのストレスやガラスへの反射の原因になる
おすすめのレンズ
水族館撮影では明るいレンズ(F値が小さいレンズ)が非常に有利だ。
- 50mm F1.8(単焦点):各メーカーから安価に出ている「撒き餌レンズ」。水族館デビューにおすすめ
- 35mm F1.4 / F1.8(単焦点):大きめの水槽を広く撮りたいときに便利
- 24-70mm F2.8(ズーム):画角の自由度が高く、多様な水槽に対応できる
- 90mm / 105mmマクロ:小さな魚やクラゲをアップで撮るのに最適

ガラス越しの撮影テクニック
映り込みを防ぐ方法
水族館撮影で最大の敵は、ガラスに自分や周囲の照明が映り込むことだ。対策は以下の通り。
- レンズをガラスにぴったりくっつける:反射を物理的にカットできる。レンズフードをガラスに当てるとキズ防止にもなる
- 暗い服を着る:白い服は映り込みやすい。黒やダークカラーの服が望ましい
- レンズフードラバー(忍者レフ):レンズの周囲を覆うことで映り込みを大幅にカットできる撮影用アクセサリー
- PLフィルター:ガラスの反射を抑える効果がある。ただし暗い環境ではさらに光量が落ちるため注意
ガラスの汚れ・曇り対策
ガラス面に水滴や汚れがあると、そこにピントが合ってしまうことがある。きれいな面を探して撮影位置をずらすか、F値を開放にして被写界深度を浅くし、ガラス面の汚れをぼかしてしまうのが有効だ。
被写体別の撮り方
回遊する魚(マグロ・サメ・エイなど)
大型水槽を泳ぐ回遊魚は動きが一定なので、コース上に置きピンしておくか、AF-Cで追尾する。シャッタースピード1/250秒以上を確保しよう。群れを広く撮るなら広角側、1匹をアップで撮るなら望遠側を使い分ける。
クラゲ
クラゲは動きがゆったりしているため、1/60秒〜1/125秒程度のスローシャッターでも十分撮れる。背景のライトアップが幻想的なので、クラゲと光のバランスを意識した構図を心がけよう。マクロレンズで触手のディテールを撮るのもおすすめだ。
ペンギン・アシカ・イルカ
水中を泳ぐペンギンやアシカは動きが速い。シャッタースピード1/500秒以上で撮影しよう。イルカショーでは屋外プールの場合が多く、光量には困らないが水しぶきでレンズが濡れるため、こまめにレンズクロスで拭くとよい。
小さな魚・サンゴ
小さな水槽の生き物はマクロレンズの出番だ。ガラスにレンズを近づけて、開放F値で背景をぼかすと主役が引き立つ。サンゴや海藻のディテールを撮るのも面白い。

水族館撮影のマナー
- フラッシュ(ストロボ)は使用禁止:多くの水族館でルールとして定められている。魚や海洋生物へのストレスになるほか、ガラスに光が反射して写真も台無しになる
- 三脚・一脚は使用禁止の水族館が多い。事前にルールを確認しよう
- 水槽をたたいたり、大きな声を出して生き物を刺激しない
- 混雑時は長時間同じ場所を占拠せず、他の来館者にも配慮する
スマホで水族館を撮るコツ
スマホでも以下のポイントを押さえれば、水族館写真のクオリティが上がる。
- ナイトモードをオンにする(手ブレを抑えてくれる)
- フラッシュは必ずオフに設定
- スマホのレンズをガラスにぴったり密着させて映り込みを防ぐ
- タッチフォーカスで魚にピントを合わせ、明るさ調整で少し明るめに補正する
Q&Aコーナー
Q. 暗い水族館でAFが合わないときは?
暗所ではAFが迷うことがある。MF(マニュアルフォーカス)に切り替えるか、水槽内の明るい部分にAFポイントを合わせてフォーカスロックしてから構図を調整する方法が有効だ。
Q. RAW撮影のメリットは?
水族館のような暗所撮影では、RAWで撮っておくと後からホワイトバランスの調整やノイズ除去がしやすい。JPEGでは失われてしまう階調情報が残っているため、暗い写真を持ち上げたときの画質劣化が少ない。ただしRAWは1枚あたりのデータ量が大きいので、容量に余裕のあるSDカードを用意しておくと撮影中に慌てずに済む。
Q. 水族館で動画を撮るときのコツは?
動画撮影では手ブレ補正が重要。カメラの手ブレ補正をオンにし、ゆっくりパン(横に振る)するとプロっぽい映像になる。シャッタースピードは1/60秒前後にし、ISO感度で明るさを調整するのが基本だ。
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水族館撮影のRAW現像テクニック
ホワイトバランスの後調整
水族館の照明は特殊な色合い(青・緑がかった光)が多いため、ホワイトバランスの後調整が特に有効だ。RAWで撮影しておけば、現像ソフトで色温度とマゼンタのスライダーを動かして、水中の美しい青や「海の中にいるような雰囲気」を自在に調整できる。
ノイズ除去の重要性
水族館撮影では高ISOを使わざるを得ないため、ノイズが発生しやすい。現像ソフトのノイズリダクション機能を活用することで、ISO 3200以上で撮影した写真もかなりきれいに仕上げられる。AIベースのノイズ除去ツールも有効だ。
彩度とコントラスト
クラゲや熱帯魚の写真は、彩度をやや上げると色が鮮やかになり見栄えがよくなる。コントラストを上げると魚の輪郭がくっきりするが、上げすぎると黒つぶれしやすいのでバランスが大切だ。

水族館での構図の工夫
シルエットを活かす
水槽の前に立つ人のシルエットと水槽内の生き物を組み合わせた構図は、スケール感が出てドラマチックだ。子供が大きな水槽を見上げている写真などは、水族館ならではの一枚になる。
反射を活かす案もある
映り込みは基本的に避けたいが、あえてガラスの反射を利用したアート的な表現もある。水槽の青い光と人のシルエットが重なる「二重露光風」の写真は、幻想的な雰囲気を演出できる。
水族館撮影に持っていきたいアイテム
- 明るい単焦点レンズ:50mm F1.8があれば暗い水族館でも十分に戦える。できればF1.4クラスだとさらに余裕がある
- レンズクロス:ガラスにレンズを押しつけて撮影するため、レンズが汚れやすい。こまめに拭けるクロスを携帯しよう
- 暗い色の上着:白い服はガラスに映り込みやすい。黒やネイビーなどダークカラーの服を着ていこう
- 予備のSDカード:暗所では試し撮りの回数も増える。容量に余裕を持たせておくと安心だ
- 忍者レフ(レンズフードラバー):レンズの周りを覆って映り込みを大幅にカットできる。水族館撮影の強い味方だ
水族館は三脚・一脚の使用を禁止している施設が多いため、手持ちでの撮影が前提になる。手ブレ補正付きのレンズやカメラを選ぶと安心だ。
水族館を楽しむための撮影プラン
水族館撮影を存分に楽しむなら、平日の午前中がおすすめだ。来館者が少なく、水槽の前をゆっくり占有できる。特にクラゲの展示コーナーは人気が高いため、混雑する土日の午後は撮影が難しくなることもある。
まずは館内を一周して、気になる水槽や照明条件のいい場所をチェックしよう。その後、本命の水槽の前でじっくり撮影するのが効率的な回り方だ。2周目からが本番のつもりで、最初の1周はロケハン(撮影場所の下見)と割り切ると気が楽になる。
水族館は館内に入ってしまえば天候に左右されないため、雨の日のお出かけスポットとしても優秀だ。カメラを持って気軽に訪れてみよう。
館内が暗いためISO感度を上げる必要があるが、最新のカメラは高ISO時のノイズ耐性が年々向上している。ISO 3200程度なら十分に実用的なカメラが増えているので、暗さを理由に水族館撮影を諦める必要はない。
まとめ
水族館撮影は、明るいレンズ・高ISO・フラッシュOFFの3点が基本だ。ガラスにレンズをくっつけて映り込みを防ぎ、シャッタースピード1/200秒以上で被写体ブレを抑えよう。クラゲのようにゆっくり動く生き物はスローシャッターでも撮れるため、被写体に合わせた設定の使い分けが大切だ。
水族館は天候に左右されず年中楽しめる撮影スポットでもある。ぜひ明るいレンズを1本持って出かけてみてほしい。
参考:NICO STOP – 水族館を撮りたい、ULTIMOFOTO – 水族館での写真の撮り方、カメラガールズ – 水族館での写真撮影が上手くなる5つのコツ
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