夏の夜空を彩る花火。スマホで撮ってみたけど、白い光の塊にしかならなかった…そんな経験はないだろうか。実は花火撮影は、正しい機材と設定さえ押さえれば初心者でも見事な一枚が撮れるジャンルだ。ポイントは「三脚で固定して長時間露光」。これだけで、あの光の軌跡がくっきり残る美しい写真になる。
この記事では、花火撮影に必要な機材の選び方からカメラの設定、撮影当日の段取りまで、一通りの知識を網羅して解説する。今年の花火大会で「おっ」と言われる一枚を目指そう。

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花火撮影に必要な機材一覧
花火をきれいに撮るために、最低限そろえたい機材は以下の3点だ。
- 三脚:長時間露光の必需品。パイプ径が太く、しっかり安定するモデルを選ぼう
- レリーズ(リモートシャッター):シャッターボタンに直接触れずに切れるので、ブレ防止に効果が大きい
- カメラ本体:バルブ撮影(Bモード)が使えるミラーレスや一眼レフが望ましい
三脚の選び方
花火撮影では風が吹く屋外で長時間シャッターを開けるため、軽すぎる三脚はブレの原因になる。耐荷重がカメラ+レンズの重量の2倍以上あるモデルが安心だ。アルミ三脚なら比較的安価に手に入る。カーボン三脚は軽くて振動吸収に優れるが、価格は高めになる。
脚のロック方式はナットロック式とレバーロック式がある。素早く展開できるレバーロック式は暗い現場で便利だ。
レリーズの種類
有線タイプと無線タイプがある。バルブ撮影ではシャッターを開きっぱなしにする操作が必要なので、ロック機能付きのレリーズを選ぶのがおすすめだ。カメラメーカー純正品のほか、互換品も多く出回っている。
レンズの選び方
花火撮影では広角〜標準域のレンズが使いやすい。24-70mmクラスのズームレンズが1本あれば、打ち上げ場所との距離に応じて画角を調整できる。遠くの花火を大きく写したい場合は70-200mmクラスも候補になる。
あると便利なアイテム
- NDフィルター(ND4〜ND16):露光時間を長く取りたいとき、光量を落として白飛びを防ぐ。複数の花火を重ねて撮る際に重宝する
- ペンライトやヘッドライト:暗い会場でカメラの操作ボタンを確認するために必要
- レンズクロス:夏場は湿度が高く、レンズが曇りやすい
花火撮影のカメラ設定
花火撮影の基本設定は「低ISO・絞り込み・長秒」の3点セットだ。
- 撮影モード:マニュアル(M)またはバルブ(B)
- ISO感度:ISO 100を基本にする。花火自体が非常に明るい被写体なので、感度を上げる必要はない
- 絞り(F値):F8〜F13が目安。F13前後にしておくと、多くの花火で適正露出が得られやすい
- シャッタースピード:バルブ撮影で、花火が打ち上がってから開ききるまでの数秒間シャッターを開ける
- ホワイトバランス:「太陽光」または「昼光」に固定すると色味が安定する
- フォーカス:マニュアルフォーカスに切り替え、最初の数発で花火にピントを合わせたらテープでフォーカスリングを固定する
バルブ撮影の手順
バルブ撮影とは、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開き続けるモードのこと。花火が打ち上がる瞬間にシャッターを開け、花火が完全に開ききったらシャッターを閉じる。この操作をレリーズで行う。
- 花火の打ち上げ音が聞こえたらレリーズのボタンを押す(シャッターを開ける)
- 花火が夜空に広がり、光の軌跡が消え始めるまで待つ(通常3〜8秒程度)
- レリーズのボタンを離す(シャッターを閉じる)
複数の花火を1枚に収めたい場合は、シャッターを開けたまま、レンズの前に黒い厚紙(うちわでも可)をかざして光を遮り、次の花火が上がったら厚紙を外す。これが「多重露光」の原始的なやり方で、カメラの多重露光機能を使う方法もある。

撮影当日の準備と段取り
場所取りのポイント
花火がどの方角から打ち上がるかを事前に調べておくことが大切だ。公式サイトや過去の写真をチェックして、打ち上げ場所と高さの目安をつかんでおこう。風向きも重要で、風下に陣取ると煙がかかって花火が霞んでしまう。できるだけ風上側を選ぶのが鉄則だ。
構図を決めるコツ
花火撮影では縦構図が使いやすい。打ち上げ地点から花火が開ききる高さまでを収められるからだ。地上の建物や水面を入れると、花火だけの写真よりも奥行きと臨場感が出る。
最初の数発は構図確認用と割り切り、花火の打ち上がる位置と高さを把握してからフレーミングを微調整しよう。
ピント合わせの方法
花火撮影ではオートフォーカスは使わない。暗い空ではAFが迷ってしまうためだ。マニュアルフォーカスに切り替え、以下のいずれかの方法でピントを合わせる。
- 開始前に遠くの街灯や建物の明かりにAFでピントを合わせてからMFに切り替える
- 最初の花火が上がった時にライブビューで拡大表示してMFで合わせる
ピントが決まったら、フォーカスリングが動かないようにマスキングテープで固定しておくと安心だ。
花火撮影でよくある失敗と対策
白飛びする
花火が真っ白に飛んでしまう場合は、絞りを1〜2段絞る(F値を大きくする)か、シャッターを開ける時間を短くする。NDフィルターを装着するのも有効だ。フィナーレなど大量の花火が同時に上がる場面では特に白飛びしやすいので、F値をF16程度まで絞っておくとよい。
ブレる
三脚の脚がしっかりロックされているか、雲台のネジが緩んでいないかを確認しよう。レリーズを使わずにシャッターボタンを直接押すのもブレの原因になる。また、カメラの手ブレ補正は三脚使用時にオフにするのが基本だ。手ブレ補正が三脚の微振動を拾って逆にブレることがある。
雲台のガタつきが気になりだしたら、雲台だけを交換するという手もあります。三脚一式を買い直すより費用を抑えやすい部分です。
煙がかぶる
花火大会の後半になると煙が滞留しやすい。風上側に移動できればベストだが、難しい場合はプログラムの合間(煙が流れるタイミング)を狙って撮影しよう。

花火写真をさらにレベルアップさせるテクニック
比較明合成で豪華な一枚に
比較明合成とは、複数枚の写真の「明るい部分」だけを合成する手法だ。1発ずつ撮影した花火写真を後からパソコンで重ねることで、実際にはありえないほど華やかな花火写真が作れる。Adobe PhotoshopやフリーソフトのStarStaXなどで処理できる。
前景を活かした構図
花火だけを撮るのではなく、手前にビルのシルエットや橋、水面に映る花火を入れると、写真のストーリー性がぐっと増す。水辺の花火大会では、水面に映る花火の反射を入れた構図が特に美しい。
スマホで花火を撮るなら
スマホでも花火撮影は不可能ではない。最近のスマホにはナイトモードや長時間露光モードが搭載されている機種もある。スマホ用ミニ三脚にセットして、長時間露光モードで撮影すると、手持ちよりもはるかにきれいに撮れる。
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花火撮影におすすめの持ち物チェックリスト
- カメラ本体(バルブ撮影対応)
- 広角〜標準ズームレンズ(24-70mmなど)
- 三脚(安定性重視)
- レリーズ(ロック機能付き)
- NDフィルター(ND4〜ND16)
- 予備バッテリー・予備SDカード
- ペンライトまたはヘッドライト
- レンズクロス・ブロアー
- レジャーシート・虫除けスプレー
- マスキングテープ(フォーカスリング固定用)
意外と忘れがちなのが灯りです。会場は想像以上に暗く、両手が空くタイプがあると設定変更がぐっと楽になります。

花火撮影の現像・レタッチのポイント
RAWで撮っておく
花火撮影ではRAWデータで記録しておくことを強くおすすめする。後からホワイトバランスの微調整や、暗部の持ち上げ、白飛びの回復が柔軟にできるからだ。JPEGで記録すると階調情報が少なく、編集の自由度が大きく制限される。
彩度とコントラストの調整
花火の色をより鮮やかに見せたい場合は、彩度をやや上げるとよい。ただし上げすぎると不自然になるため、+10〜+20程度が目安だ。コントラストを少し上げると花火の光跡がくっきりして、見栄えがよくなる。
ゴミ取りとトリミング
長時間露光ではセンサーのゴミが写り込みやすい。レタッチソフトの修復ブラシ機能で目立つゴミを除去しよう。また、構図が決めきれなかった場合はトリミングで調整する。花火写真は縦構図で撮っておくと、後からの調整がしやすい。

Q&Aコーナー
Q. コンデジでも花火は撮れる?
マニュアルモードやシーンモード(花火モード)が搭載されているコンデジであれば撮影できる。ただしバルブ撮影に対応していない機種が多いので、シーンモードの「花火」を使うか、シャッタースピードを手動で数秒に設定できるモデルを選ぼう。
Q. 花火撮影にベストな焦点距離は?
打ち上げ場所との距離によって変わるが、フルサイズ換算で24mm〜70mmの範囲が使いやすい。近い場所(300m以内)なら広角側の24-35mm、離れた場所(500m以上)なら50-100mmあたりが収まりやすい。
Q. 花火の色がうまく出ないのはなぜ?
ホワイトバランスをオートにしていると、カメラが色味を補正してしまい、花火本来の色が出にくくなることがある。「太陽光」か「昼光」に固定すると、花火の色がそのまま記録されやすい。
まとめ
花火撮影は特別な技術がなくても、三脚・レリーズ・正しいカメラ設定があれば、初心者でも美しい写真が撮れるジャンルだ。ISO 100・F8〜F13・バルブ撮影という基本設定を押さえ、ピントをマニュアルで合わせたら、あとは花火の打ち上がるタイミングに合わせてシャッターを切るだけ。
今年の花火大会では、ぜひカメラと三脚を持って出かけてみてほしい。何度か撮影を重ねるうちに、自分なりのベスト設定が見つかるはずだ。
参考:タムロン – 花火写真の撮り方、ケンコー・トキナー – 打ち上げ花火を撮る、ビックカメラ – 花火撮影のコツ
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